自分探し
「え?雨がこんなに降っているのに、ジム行くの?信じらんない!」
同僚の20代の女の子が、ランチタイムにいそいそと支度をする私を見て、目を丸くして驚く。
それにつられて、周りも私を見る。
私は、余程のことがない限り、最低でも週3回はジムに行く。
雨なんて、なんてことない。恐らく台風でも行くだろう。
同僚の内では、「あの人はお昼はジム」というのは、もう暗黙の了解となっている。
皆、内心、どう思っているんだろう。
「意志が強いね!」「健康に気を付けていて、感心だね」が建前だけど、
本音の本音は、「アラフォーさん、体系維持に必至だね~」かな(笑)?
そこまでしなくても、って笑われているかも。
でも、全然気にならない。
強がっているわけではなく、本当に気にならないのだ。
私は最近、「自分は、ジムに行って筋トレをするのが好きな人間なのだ」と確信を持った。
その時から、筋トレは、明確に私の人生の上での優先項目の一つとなった。
そうしたら、驚くほど、周りの反応や意見は気にならなくなった。
そして、圧倒的に、生きやすくなった。
もう資格取りとか料理の腕を上げるとか仕事で昇進するとか、そういうことはどうでもよくなり、やることとやらなくていいことがハッキリしたからだ。
自分が生きる上で何がしたいのかが良くわからなかった時、
つまり、俗にいう「自分探し」をしていた頃、
周りの人が持っているものや、やっていること、それらが常に気になった。
皆、私が持っていないものを持っているように見えて、
羨ましくて、内心嫉妬して、
影響されたり、真似したり、逆にわざと見ないようにしたり。
あれもこれも試して、努力してみて、いつも疲れていた。
いつも「これじゃない」「何か足りない」気が拭えなかった。
アラフォーになって、もう取り返しがつかないのでは?と絶望した。
人生でやりたいこと、というのは、壮大でないといけない気がした。
それこそ、世界平和とか、国際協力とか、社会貢献とか。
それらを、職業としてつきつめて、フォーマルな形で達成しなければいけないのでは、
と勝手に思っていた。
でなければ、結婚や出産等の、「人生の大イベント」が起きれば、その穴が埋まり、しっくりくるのではないかとも期待した。
でも、結婚しても同じだった。
子供が出来ても、同じだった。
ハッキリ言って、筋トレだけでは具体的になにが「自分」なのか、まだよくわからない。
筋トレを通じた「人生でやりたいこと」が何なのかも、良くわからない。
でも、それでも確実に前進している感がある。
なぜ筋トレが好きなのかというと、それは、単純に運動が好きだからというのもあるけれど、やれば必ず自分の体系が理想に近づくのが楽しいし嬉しいからだ。
では、ボディメイクを通じて、本質的には何がしたいの?と言われると、答えに詰まる。
別にモデルやトレーナーを目指しているわけでもないし、自慢したいとかモテたいとかでもない。
強くてきれいな女性が好きで、それを自分なりに体現したい、が、正直な答えだろうか。
完全に自己満足の世界だ。
でも、それでいいんじゃない?と思うようになったのは、本当に最近のことだ。
前は、それに何となく気づいていても、恥ずかしくて自分自身で認められなかった。
自分探しなんて、自分に本当に正直に、自分の好きなことに素直になれば、
案外直ぐに見つかる気がする。
で、本当に好きな事を好きと認めて、堂々とやり始めると
周りは始めこそちょっとうるさくなるけど
そのうち、「あ、こいつ本気だ」と、一目置いてくれるようになる。
それが自分のキャラになる。
そして、それは、自分の好きなものであるので、自分でも違和感がなく、しっくりくる。
そう言われること、見られることが、しっくりくる。
自分、見つけた。
貴方は、何が好き?