お手本
その人は、いつも自分が一番魅力的に見える服を着て、
ヒールをならして、堂々と歩いた。
誰にも臆せず、ハッキリと話した。
自分が欲しいモノが手に入るまで、ひるまない。
エレベーターでも、レストランの入り口でも、男性は必ず一目置く。先を譲る。
定員やウェイターやドライバーが、嬉しそうに相手をする。
道行くすれ違う男性が、「その靴、いいね!」と褒める。
女性が、「そのバッグ、どこで買ったの?素敵」と聞く。
彼女はいつも、そうされて当然、という感じで、
ごく自然にその好意を受け入れる。
そして最後に、満悦の笑みで「ありがとう」と返す。
お世辞や、余計な社交辞令は言わない。
男に媚びを売らない。
男は興味がないという感じなので、セクシーなのに、いやらしさが微塵もない。
そんなことより、ショッピングが好き、服とバッグと靴が大好きで、
親や親族が大好き。
どこにいても食べたいものを食べ、自分がやりたいことをやる。
常に何が欲しいか知っていて、それを得ることに集中していた。
他人や世間やゴシップには、一切興味がない。
20代の頃、職場で、彼女に会えたことが、私の在り方を大いに変えた。
彼女の存在なしでは、恐らく今の私はないだろう。
「女性の在り方」の分野において
私が物凄く影響された人の、ランキング上位に入る。
彼女は、新しく配属された部署で、直属の上司となった。
上司と言っても、私とさほど歳が変わらない、20代後半。
小さな部署で、私と彼女の二人だけ。
彼女を一目見たときから、密かに一目ぼれ(変な意味ではないですよ、お手本として)していた私は、ワクワクした。
長身で、胸もおしりもどーんと大きいグラマーガール。
本人は大きいのがコンプレックスだったようで、ダイエットに必死だったけど、
くびれがあり、足が細いせいか、ちーっとも太っては見えない。
これって、東洋人にはない、黒人・白人の特権ですね...(ほんと、羨ましい...)
母親が美容師さんだそうで、髪型やカラーは流行に従って毎回変わる。
基本は金髪の入った、ロングのブルネット。
人によっては、彼女のようなタイプは苦手な人もいるだろう。
というか、かなりの自信家で自己中心的、そしてそのわかりやすい容姿から、
実際に職場ではアンチも多かった(その大半は、女性...恐らく、妬みから)。
しかし、私は彼女に嫌悪感を感じたことは殆どない。
なぜなら、あっけらかんとしていて、自分の人生に集中して生きていたから。
逆に、彼女のやることなすこと陰口叩いて妬んだり噂をする同僚女性のほうに嫌悪感を感じたものだ。
彼女から学んだこと...紹介していきます。