【たくましく美しく生きる術】Blog by Nina S.

人生、40歳からが本番 ~ パワフル&エレガント

【熟女】と過ごした日々

今日の一歩

自分を置く環境を、選ぼう

 

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10代のある時期に、物流会社でアルバイトをしていたことがある。

 

その会社は、レストランの食材を半加工する部と、それを店舗ごとの注文に応じて仕分けする部、そして、トラックに積んで運搬する部の3つで出来ていた。

 

私は、仕分け部に配属された。

 

仕分け部は、社員1名、パートのおばさま方10名、バイトの10~20代の男性で構成されていた。10代女子は、私一人だった。

 

確かに、10代の女子が積極的に選ぶようなバイト先ではない。長時間立ちっぱなしで、重いものを上げ下げする作業もある。冷蔵庫・冷凍庫に入るときもある。

 

給食当番のような出で立ちで作業するのでオシャレなどとは無縁だし、ハッキリって肉体労働だし。

 

私の場合、近所で時間の都合がつき、時給が100円ぐらい高かった(笑)ということで選んだ。スポーツをして鍛えていたので、肉体労働も問題ではない。

 

他にも掛け持ちでウェイトレスのバイトをしていて、そちらはかわいい制服とお客相手で楽しかったので、こちらは効率・効果が全てで、仕事内容などはどうでもよかった、というわけ。

 

同じ時間帯に勤務する5人ぐらいの男性メンバーとは直ぐに打ち解け、仕事帰りにカラオケにいったり、飲んだりする仲になった。

はい、未成年でした。すみません 笑

 

男性だけ5名の中に年下の10代の女が一人となると、体育会系のごつい私でも(笑)、姫扱いされた。

 

ホルモンが花咲く10~20代、全員バイトという気楽な身分もあり、

その中の幾人かと惚れた腫れたの恋愛沙汰に発展して、皆で青春学生ドラマのような日常を送った。

それはそれで、なかなか楽しい日々だった。

 

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PexelsによるPixabayからの画像

 

 

しばらくして、私達のグループと同じ時間帯に、新しいパートの女性が入った。

 

40代の女性だ。栄子さん。

この人が、一筋縄ではいかない魅力とカリスマを持った人だった。

 

派手な顔立ちに、しっかりと施したお化粧。

中年らしく、顔のしわやお腹のたるみ、おばちゃんっぽい話し方などはあるが、なぜかとても色っぽい艶がある人だった。

 

私達は、直ぐに打ち解けた。

 

栄子さんは、お昼にアボカドのサラダを分けてくれて、言った。「お肌にいいから食べなさい。普段の食生活をおろそかにしたら、美貌はないわよ」

 

化粧室では、こう言われた。「洗顔後には、冷たいお水で引き締めるといいわよ。今から習慣にすれば、私ぐらいの年齢になったときに差が出るから」

 

17歳の双子の男の子の母であるという彼女は、話してみれば主婦や母ではなく「女」の部分が際立っていて、

早く大人の女になりたかった自分は、彼女との会話で色々なことを学べるのが新鮮だった。

 

彼女は、事務職やら百貨店での化粧品販売やら、それこそいろいろな職を経験してきたが、今は掛け持ちでラブホテルのスタッフとしても働いているとのこと。

 

なるほど、そりゃ色っぽくもなるはずだ(笑)

 

でも、私が息子さんと同世代の「少女以上、女性未満」であることをちゃんと忘れない。

世間がきけば顔をしかめられるようなことは、言葉を選びながら、下品の一歩手前で巧みに止めて話す、思慮深い頭のいい人だった。

 

さて、隣の食材加工部のリーダーは、色白で一重目が涼しげな、きりっとした純日本的なけっこうイイ男で、気の多い私は気になった。

 

さっそく、栄子さんにその旨を伝えた。

 

「栄子さん、XXさん(食材加工部リーダー)って、いい男だと思いません?うちの部のOOさんも素敵だけど、あの人もいいかな~」

 

栄子さんは、こう答えた。

 

「ああ、あの子(XXさん)は確かにいいわねえ。キビキビ動くし、ちょっとはにかんだ笑顔も可愛いし。ちょっと待ってね」

 

そして、すばやく動いて、「XXさんは今フリー(彼女なし)で、私のことを悪く思ってはいない」等という情報を、さらっと手に入れてきた。

 

しかも、ポケベル番号のおまけつき。

(ポケベルが何かを知らないナウなヤングは、検索してね 笑)

 

余りの見事な早業に、驚きやら嬉しさやらでボーっとする私に、栄子さんは続けた。

 

「##ちゃん(私のこと)。私はここの男の子たちはとっても感じがいいし、働き者だし、##ちゃんが誰と仲良くなろうが深い仲になろうが、別にいいと思う。

 

でもね、##ちゃんぐらいの年齢の男女は、どこにいようが誰であろうが

特定の時間を一緒に過ごせば、必ず惹かれ合ってしまうのよ。

 

これは自然の原理で、そこに条件や個人は全く関係ないの。だから、男を選ぶときには、自分を置く環境を選ばなきゃだめよ。

 

ここの男の子たちは、やっぱり皆、似通ったタイプでしょ?下請けの運送会社のバイト、って身分を差別する気もさらさらない。私達だって人のこと言えたもんじゃないしね。

 

でもね、誤解を恐れずに言うけど、過ごす環境を賢く選びなさい。どうでもいい環境で、不本意にどうでもいい男とくっついちゃダメよ。」

 

仕事経験はバイトしかなく、環境を選べと言われてもピンとこなかった幼い私は、「へえ、そうなんですか~」みたいな、軽い返事しかできなかったと思う。

 

でも、それから、そのXXさんと何度か会話し、デートに発展して、

程なく彼が見かけほど良い男ではないのに気付いた。

一緒にいても、つまらないのだ。

 

その後、わたしはふとしたことから日本を出て外国に移住することになるのだが、

過ごした環境は、外国という事もあって貧富の差が激しく、色々な階級やタイプの男女が集まる所だった。

 

しかし、ここでも、どういう集団であっても、そこにいる男女は少なからずカップルになっていた。今、それらを過去のデータとして思い出してみると、栄子さんのコメントは真髄をついていたと思う。

 

 

「男女が惹かれるのは、その人がどうこうではない。

同じ環境で、いくらかの時間を共有するだけで、どうしても惹かれ合ってしまう」

 

 

かのXX氏が見掛け倒しであることを、たかが3分程のおしゃべりで悟った栄子さん。

10代の小娘であった私に、年下の若い男の子から交際を申し込まれるような艶のある40代熟女は、何を思いながら過ごしていたのだろう。

 

彼女と過ごした日々は短かったが、もっと色々なことを教わりたかったなあ、と思う。